江戸期 屋久杉の庫裡客殿
江戸期に建てられた大本山本興寺境内にある塔頭寺院。柱はもちろん、敷居鴨居・長押や小屋組の梁丸太までもが屋久杉で建てられた大変珍しい建物。阪神大震災の時には大きく傾き、応急処置で過ごされていたのを、壁を解体して柱の建ちをまっすぐに戻したいとのご希望をかなえました。また、寺院機能のスペースとプライベートスペースが交錯していた間仕切りを見直し、家族構成の変化に対応した新しい空間もご提案しました。
有馬棟梁コメント
震災の爪痕が思いのほかキツく、建物全体が西に大きく傾いている状況を戻すのは苦労しました。調査段階で判明していた折れた梁の補強、破壊している仕口の補強、つなぎ梁の追加、天井裏に水平構面の付加、耐震壁の設置など構造補強をしっかり施したことで、先日の北大阪地震でも問題なく耐えてくれほっとしています。また今回は御住職様のご家族が住まわれる空間なので、空調設備の隠ぺい配管には特に気を付け、見映え良く納めることにも注意しました。