2021年9月11日、株式会社和える主催のaeruオンラインサロンにて月に一度開催される「まなびの場」。今回匠弘堂がオンライン工房見学の案内役で出演しました。

◆株式会社和える
https://a-eru.co.jp/story/
『先人の智慧(ちえ)を私たちの暮らしの中で活かし、次世代につなぐこと』を目指し、 次世代に伝統をつなげる仕組みを創出し続けていらっしゃいます。

◆aeruオンラインサロン
https://a-eru.co.jp/projects/onlinesalon/
オンラインチャットツール「Slack」を用いた日常的な情報共有や、伝統へ触れる企画・工房訪問・特別ゲストを招いた企画などを毎月開催されている「まなびの場」、代表取締役の矢島里佳氏と共に対話によって学びを深める「哲学の場(対話の場)」の企画開催により、日本の伝統や先人の知恵と、今を生きる一人ひとりの感性を「和える(aeru)」オンラインサロン。

匠弘堂・宮大工の仕事のご紹介

オンライン工房見学の案内をする横川総一郎
匠弘堂や宮大工の仕事について紹介する横川総一郎

はじめに匠弘堂や宮大工の仕事について代表取締役社長の横川総一郎よりご紹介させていただきました。
代表的な過去の施工物件、現在進行中の現場の写真をお見せしながらお話しする中で、「丸柱は一度角材にしてから正八角形、十六角形、…と面を取ってゆき、最後は丸鉋で仕上げる」というシーンでは、「なぜ元々丸い木材を一度角材にするのか」という質問がありました。(原木を切断した木材の状態では確かに丸いですが、根元側の元口(もとくち)と木の先端側の末口(すえくち)では直径が異なります。加えて木材の状態では必ずしもきれいな真ん丸とも限りません。その上、丸い状態ではほぞ穴を刻むような加工も困難です。こうした理由から一度製材し角材に整えることにより加工もしやすく精度の高い丸柱に仕上げることができるのです。)

その他にもたくさんの質問をお寄せいただきました。クイズコーナーや、現在進行中のとある寺院の山門新築工事の仮組の様子を定点撮影した動画、模型を用いて継手がどのように組まれているのか、鎌倉時代の絵巻物に描かれている宮大工の仕事の様子の紹介なども盛況で、オープニングを駆け抜けました。

工房での山門仮組 定点撮影動画はこちらです。

工房見学のはじまり—宮大工の手仕事

先ほど登場した仮組中の山門の実物と1/10の模型もお見せし、スマホカメラを使った工房見学に移ります。
まずは宮大工の手仕事の一部を匠弘堂若手メンバーが実演紹介しました。

槍鉋(やりがんな)を手にする小島 新吾

槍鉋(やりがんな):小島新吾

鑿(のみ)を手にする稲葉耕介

鑿(のみ):稲葉耕介

釿(ちょうな)を手にする鈴木稜生

釿(ちょうな):鈴木稜生

斧(よき)を手にする山本択哉

斧(よき):山本択哉

約1000年前の鎌倉時代の絵巻物で登場した道具が今もなお使用され、先人たちの技術研鑽の積み重ねが現代にも受け継がれていること、そして匠弘堂では昔ながらの手仕事を大切に後世への技術継承が行われていることがお伝え出来ました。

二代目棟梁・有馬茂

続いて、匠弘堂二代目棟梁有馬茂とともにめぐるオンライン工房ツアーです。
仮組中の山門破風板へ取り付く懸魚の説明や、別物件の現場に使われる大きな懸魚との比較、軒先の反りの曲線部分をカメラで真横から狙うなど、山門の細部に至るまでを凝縮してお届けしました。

山門の懸魚を説明する有馬棟梁
山門の懸魚を説明する有馬棟梁
別の物件の懸魚との比較をする横川と有馬棟梁
別の物件の懸魚との比較(左:横川、右:有馬棟梁)
仮組中山門の軒反りをカメラで真横から狙う横川と有馬棟梁
仮組中山門の軒反りをカメラで真横から狙う(左:横川、右:有馬棟梁)

締めくくり

締めくくり・質疑応答に答える有馬と横川
締めくくり・質疑応答(左:有馬、右:横川)

最後にこの日のご案内役を務めた横川より、企業理念や初代棟梁岡本弘の教えなどをお伝えし、横川・有馬による質疑応答タイムへ移りました。
全国各地での施工実績に「沖縄と本州では琉球文化などによる違いがあるのか、沖縄に限らず地域によって建築の技術的な地方性はあるのか」のようなご質問もいただきました。(地域によって自然環境が大きく異なるので、貫構造納め方・調達できる木材の種類・シロアリの有無などに加え、歴史文化も交わって対処方法も変わってきます。)

一時間半、あっという間でしたが、時間の限り匠弘堂や宮大工の仕事について説明させていただきました。ご参加いただいた皆様よりたくさんのご質問もお寄せいただき大変有難く、私たちも楽しく配信できました。
ご視聴いただきましたaeruオンラインサロンの皆様と和えるのご担当者様にこの場をお借りして、改めて心より御礼申し上げます。

今回のイベントで参加者の皆様が社寺建築へ少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。また是非リアルでもお会いしましょう!

他にも様々な活動で日本の伝統文化や職人の手仕事を楽しみながら、感性を磨く仲間と共にまなびを深められる和えるさんのサロンの詳細につきましてはこちらをご覧ください。

◆aeruオンラインサロン
https://a-eru.co.jp/projects/onlinesalon/
オンラインチャットツール「Slack」を用いた日常的な情報共有や、伝統へ触れる企画・工房訪問・特別ゲストを招いた企画などを毎月開催されている「まなびの場」、代表取締役の矢島里佳氏と共に対話によって学びを深める「哲学の場(対話の場)」の企画開催により、日本の伝統や先人の知恵と、今を生きる一人ひとりの感性を「和える(aeru)」オンラインサロン。

筆:設計スタッフT