匠弘堂で働く宮大工や設計技術者たちによるリレーブログ。
宮大工歴8年目の義久 雄介。前回のインタビューから4年の歳月が経ち、さまざまな経験を重ねた義久。以前掲げていた「意気込み」はどのように変化したのか、再び語ってくれました。
現場のサブリーダーの立場に昇格。とにかく大切にしてきたのは「コミュニケーションのとれる大工」であること
4年前にインタビューしていただいた後から、様々な現場を経験しました。
大きなものをお話しすると、
・台風で破損した高山寺の金堂の屋根の修復、
・皇位継承に際して行う宮中祭祀である大嘗祭での黒木灯籠づくり
・熊本地震の震災復興として、阿蘇神社拝殿の両脇にある翼廊という廊下、儀式殿、神輿庫の修復
などなど。
それぞれ匠弘堂にとって重要度の高い現場でしたので、今まで以上に緊張感を持って取り組みました。特に4年前は現場のいち担当だったのが、阿蘇神社の仕事の時からサブリーダーに昇格。責任ある立場として携わったので身が引き締まる思いでした。
いままでは棟梁やリーダーに準備してもらった仕事をこなしていたのが、自分で準備して、まわりの職人たちの仕事を作っていくようになりました。
その中で特に迷ったのは、どこまで人に任せていいのかということ。
自分が現場のいち職人であったときには「ぜんぶ自分で巻き取ろう、ぜんぶ自分でやろう」という意識が強くありました。でも、現場をまとめる立場である自分がなんでも手をつけてしまっては、仕事が前に進みません。
そこで最初に意識したのは「とにかく試しに任せてみる」ことでした。
工房の若手職人たちが、何が得意で何が不得手か。肩を並べて仕事をしていたときには気づけなかった彼らの特性を知るには、とにかく任せることが必要だと感じたんです。
任せる過程で、コミュニケーションのとりかたには特に気をつけました。
「ちょっとしたときにちょっと声をかける」、そんな気軽さがあったほうが、若手との会話は深まるんですよね。そうしたコミュニケーションの甲斐もあって、現場の雰囲気もよく、仕事はうまく進んだと思います。自分の自信にもつながりました。
自分がメインで担当した専光寺で意識したこと
初めて自分がメインとなって取り組んだのが、専光寺さんの本尊仏を安置してもっとも重要なところである内陣(ないじん)の天井を直した仕事です。元は住宅のようなシンプルな天井だったんですが、四角の枡が並んでいるような形の格天井(こうてんじょう)に直しました。
…どうですか、きれいでしょう!!
経年劣化で菱形になっていたところに真四角をはめるので、どこで帳尻を合わせるかっていうのを一番気を使いました。
外部の大工さんと二人で取り組んだのですが、有馬棟梁より少し若いかなというくらいで、初めて会った人でしたが話しやすい人でした。
社寺がお互い好きだったからコミュニケーションはとりやすかったです。ここでも「相手に関心を持つ」ことを意識していたので仕事もスムーズでした。
最後、引き渡しのときに住職さんと檀家さんがいらして、「すごくよくなった」と言ってもらえたんです。実際にタイミングの都合で褒め言葉を聞くことがあまりないので嬉しかったのを覚えています。そもそも外陣でも格天井を作り、それを評価してもらって内陣の追加発注を受けたのもあって、やりがいを感じた瞬間でした。
4年前の「意気込み」はいつのまにか「当たり前」に。常に勉強して技術を磨きたい
4年前の記事を読み返すと、「しっかり準備して一日の仕事に備える」ことを意気込んでいましたが、今となっては「当たり前のこと」として毎日取り組むようになったと思います。
サブリーダーの立場になってより顕著に思います。今までは準備された仕事を与えられていましたが、今は違う。今まで以上にしっかり準備して、次の仕事に備えています。
相変わらず道具の手入れは大好きです!
社会人8年目。これから後輩ももっと増えて匠弘堂の中心の大工として活躍していきたいですが、まだまだ勉強したいことの方が多いです。立ち止まらずに学び続ける。有馬棟梁や他のみんなのように、興味を持っていろいろ勉強し続けることが大事だと思っています。
宮大工という仕事は、単純にものづくりが好きで好きでたまらない人に向いていると思います。
実際、青年技能競技大会とかに出ると休日も休みなく勉強したり練習したりするので、それが苦だと感じない人は宮大工の仕事が合っていると思いますよ。
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